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東京発:2015年宇宙の旅


5月の晴れた日。僕は宇宙を感じました。もしもあなたが、今見ている、目の前の世界が全てだと感じているとしたら、ぜひ、この島を訪ねて欲しいと思います。東京都大島町。玄武岩質マグマが活発な活火山の島です。誕生は、数万年前の海底噴火にまで遡ります。1500年~1700年前、複数回に及ぶ大噴火がカルデラを形成しました。時を経て江戸時代、安永大噴火(1777年~1792年)によって、現在の「三原山」が誕生したといいます。1986年の噴火では、激しい火柱と溶岩が流れ出る様子が、全国に報道されました。地球の息づかいと、その内に蓄えられた強大なエネルギーの片鱗を、僕たちは目にしました。地球は生きている。人間と同じように。そう感じた瞬間でした。

エネルギーの歴史ともいえる噴火の履歴は、三原山に独特の景観を生みました。行く手を遮る鋭角な岩山が、熱の痕跡を生々しく伝えます。土も水も奪われたかのような岩肌から枝葉を伸ばす、ハチジョウイタドリ。

その葉陰に姿を隠しながら、澄んだ声を空へと捧げるウグイス。自然の営みとは、かくも強く、美しいものだと、清流も雪渓も森をも持たぬ無骨な山が教えてくれるのです。火口は、噴火を繰り返しながらその形を変え、広げ、今では60階建てのビルを呑み込む深さになりました。歩を進めるほど、風景は次々と変化します。オブジェのような溶岩の連なり。切通しを思わせる急斜面が左右に続く、櫛形山西側の峡谷。風向きの影響によって堆積した火山灰が創り出す、黒砂の砂漠。噴火による天然の野焼きが生み出したという、ススキ野原の見晴らし。やがて高度が下がると、あたりに低木が群生し、ついには樹海が現れます。異なる惑星を旅したような、不思議な高揚感が身を包みます。

地球の息づかいを実感する『ジオツアー』。この世界が宇宙のなかにあることに気付く旅でした。

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